「第154回 菌状息肉症」 2024年10月25日付 「リビング多摩 」に掲載されました
- 2025年1月21日
- 一般皮膚科
ほかの皮膚症状と間違いやすい
皮膚の悪性リンパ腫“菌状息肉症”
「腕や背中の湿疹が何年も治りません。皮膚がんになるかもしれないと、心配です」という悩みについて、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・立川皮膚科クリニック院長の伊東秀記先生に聞きました。
―湿疹が皮膚がんに?
「心配されているのは、皮膚に生じる悪性リンパ腫の一種、“菌状息肉症”のことですね。初期にあらわれる紅斑が他の皮膚症状と間違いやすいので、まれですが、なかなか治らない湿疹が、実は菌状息肉症だったというケースもあります」
―菌状息肉症について教えてください
「いろいろな大きさの茶褐色の発疹が、体のさまざまなところにあらわれます。紅斑は境界線がはっきりしていて、かゆみや痛みはないのが特徴です。数年から10数年かけてゆっくり進行し、厚みやざらつきが出てきます。さらに発疹の中にしこりを生じたり、出血したり、潰瘍になったり。場合によっては内臓にも症状が広がり、だるさや全身症状が出ることもあります」
―治療法は?
「根治的な治療法はありませんが、状態に応じて適切な治療を行います。初期には、主にステロイドの外用療法、医療用の紫外線を当てる光線療法も用いられます。進行してくると、全身治療が併用されることになります。
まずは早めに気付くこと。ヘンだと思ったら、皮膚組織を切除して病理検査を行うなどの診断が大事です。ひとりで悩まないで、皮膚科に相談してください」